課題はあと半分くらい

大学院課題4:2000年代以降、精神疾患患者の増大により向精神薬、特に抗うつ薬の市場は活性化しているが、一部の製薬会社は新規抗うつ薬の開発から撤退する動きを見せている.その理由を説明せよ.

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 各国で向精神薬の売上が増大することにより行政の財政を圧迫するほどの問題が生じたこと、同種薬の開発に対する批判が相次いだことが挙げられるが、最たる理由はモノアミン仮設を超えた新規抗うつ薬が標的とする分子同定が困難であることが考えられるだろう.他にも英国のように認知行動療法のエビデンスが蓄積され、抗うつ薬以外の治療法にも行政が目を向けるようになったことも指摘される.

課題はまだまだある

大学院課題3:遺伝子の変化がどのようにして精神疾患の原因となるか、その概要について説明せよ.

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 まずは単一遺伝子の突然変異による精神疾患、すなわちメンデル遺伝に従う遺伝子の変異が発症の引き金となることがある.例として女児のみに発症するRett 症候群(転写抑制因子MECP2の遺伝子変異)や常染色体優性遺伝する、huntington 遺伝子のCAG repeat 延長によりHuntington 病が知られる.一方でメンデル遺伝に従わない、遺伝子の多型による機能変化が精神疾患に関与することがある.主に発達障害(SHANK3遺伝子、CADPS2遺伝子)、統合失調症(DISC1遺伝子、COMT遺伝子)、うつ病(SERT遺伝子)において遺伝子多型がエンドフェノタイプとして知られている.他にはエピジェネティクスによる変化が挙げられる.DNAの塩基配列の変化なく可逆的に遺伝子機能の発現が変化することである.DNAメチル化、ヒストン修飾が関与することで遺伝子発現量の増減が生じる.栄養状態、生育環境が影響すること、妊娠中や生後早期に活発に生じることが知られることから環境に適応した遺伝子発現調節ともいえる.これらによる疾患に発達障害や統合失調症、うつ病の関連が考えられている.